キャプテン翼2

 筆者の心に強く焼き付いていた「キャプテン翼2」を最近ふたたびやる機会を得ました。それについての感想です。


序.「キャプテン翼2」とは

1999/02/01

 1980年台に爆発的ブームを引き起こした漫画である「キャプテン翼」、この作品についてご存知の方は多いだろう。この作品は実はテクモによってゲーム化されており、ファミコンで2まで、スーファミで4くらいまで出ている。
 一番最初のものは、漫画の「キャプテン翼」の話をそのままゲームにしている。そして、「2」は「その後のキャプテン翼」をやっているのだ。とはいえ、その世界観は「キャプテン翼」を逸脱したものではない。もし「キャプテン翼」があの後も続いていたらどうなるか、を「キャプテン翼」の世界を熟知したスタッフによって綿密に描いてあるのだ。確か、原作者である高橋陽一氏もいろいろと協力していたはずである。
 ちなみに、この作品に感銘を受けたあまりに、テクモの入社試験まで受けた、という筆者の友人がいる。結果的にその人は公務員になったが、もし一歩間違えればこのゲームは彼にとって「人生を決めたゲーム」となっていたかもしれなかったのである。
 なお、スーファミで出た「3」は、「2」からさらに後、をやったのだが、残念ながら、斬新性はなく、あまり面白くなかった。内容的には、Jリーグブームに乗って復活したもののヒットしなかった「新キャプテン翼」のようなものであった。
 ゲームシステムは単純である。プレイヤーは、ボールを持っている選手もしくは、ボールにもっとも近い位置にいる選手を操作する。そして、シュートとかパスなどのコマンドを入れるのだ。もちろん、大空翼を操作すれば「ドライブシュート」が打つことができ、若島津健を操作すれば「三角飛びディフェンス」ができるのだ。
 ただ、そのような必殺技は無限には出せない。各キャラクターには「ガッツ」というヒットポイントがあり、それが一定量ないと必殺技は出ないのである。そこで、「残りガッツ」を計算した上で「ここはネオ・タオガーショットではなく、タイガーショットに止めておこう」などといった戦略も必要となってくるのだ。
 ストーリーは、Jrユースを制してブラジルに渡った翼のブラジルでの大会から始まる。ちなみに決勝の相手は、かつて映画用として高橋陽一氏自らデザインした「カルロス・サンターナ」である。彼に勝つと、今度は岬率いる南葛高校となって高校選手権を制覇する。その次はふたたび翼に戻り、ブラジルのチームとして「ジャパンカップ」に出場し、若林率いるハンブルグや全日本と戦う。それに勝つといよいよ、全日本として世界ユース選手権に出場するのだ。

1.ポーランドのマッハーくん

1999/03/01

 世界ユース選手権のアジア予選を突破すると、予選ブロックに入る。そこで、最初に当たるのがポーランドである。
 このチームはキックオフからいきなり度肝を抜くようなことをやってくれる。まず、相手はエースストライカーのマッハーくんにパスをする。すると彼は、一気にドリブルで全日本を突破するのだ。
 普通の敵なら、途中で進路にいるディフェンダーがタックルをかけたりもできる。しかし、マッハーくんにはそれはできない。なぜならば、マッハーくんのドリブルは早すぎて、ボールを持った次の瞬間、ゴール前にいるからだ。
 つまり、彼の名前は、ドリブルの速度からつけられているわけである。
 その驚異的なドリブル力でゴール前に出たマッハーくんは、即座にシュートする。しかし、彼はドリブル以外は全くのザコキャラである。したがって、一定レベルに達している若林(もしくは若島津)なら、簡単にキャッチできる。
 そして、全日本の反撃にうつるのだが、これがまたすごい。全日本の選手がシュートを放つと、ポーランドの巨体キーパージャイッチくんは、必殺技「ローリングセーブ」を見せるのだ。この技は、回転しながらボールを取るのだが、回転する際に、背景までグルグルまわってしまう。おそらくは回転の威力で空間をねじまげているのだろう。
 しかし、そのような技もネオ・タイガーショットやドライブシュートには通用せず、ゴールを許してしまう。なんのために背景まで回転させて・・・と空しくもなるが、世の中とはそういうものなのだろう。
 とにかく、このマッハーくんのドリブルの速さは、何年か前にプレイした時にはっきり心に刻み込まれた。そして、再びやってみて、彼のドリブルの速度とシュートの技術が、かつての記憶通りだと確認できた時は無性に嬉しかった。
 

2.スーパーストライカー石崎

99/07/11

 石崎了というキャラは、若林源三と同様に、プロトタイプの読みきり作品から出演している、キャプテン翼の軸となる男である。そのせいか、本ゲームでもいろいろと重要な役どころを得ている。
 まずは、アイキャッチ。試合に負けると、もういちど戻って同じ相手と試合をする。その時間を溯っている(?)間、玩具屋の猿みたいな格好をした石崎が出てきてシンバルをたたくのだ。
 また、石崎には全日本の副マネージャという仕事もあるようだ。全日本のマネージャは日本サッカー協会の片桐の妹なのだが、彼女は一時期チームを離れる。その間、なぜか石崎がマネージャ業を行い、相手チームの情報や「スコアメモ」などを教えてくれるのだ。
 もちろん、サッカーでの活躍も個性的だ。彼の必殺技は原作にもあった顔面ブロックである。この技は、文字通り相手の必殺シュートを顔面で受けるのだ。ツボにハマれば、ファイヤーショットくらいでも止めれるらしい。また、地をはう事で有名なイーグルショットでも顔面で受けてしまう。
 このように、技の効果は絶大だが、弱点(?)も多い。まず、成功率の低さである。この技は、フィールドで攻撃側の選手と向き合ったときに出せるのだが、相手がシュートを撃たないと発動しない。したがって折角出しても、相手がパスやドリブルをしたら何の役にも立たないのだ。さらに、ガッツ(体力)の消費量の多さも問題だ。石崎の最大ガッツは900くらいなのだが、この技は400も消費してしまう。したがって連続して出せないばかりか、一度出すと、しばらくは動きが悪くなってしまうのだ。
 とはいえ、この技で敵のエース級の必殺シュートをブロックした時は、非常に嬉しい。その嬉しさは、翼の新必殺シュート「サイクロン」を決めたときなどよりもずっと上である。

 以上が、石崎の普通の使い方だ。しかし、やりこめば、さらに驚異的な事もできる。
 筆者の弟は、石崎をFWにし、ひたすらシュートを打たせた。普通に打ってもなかなか決まらないが、ゴール前のせりあいでキーパーがいなくなった時などを狙うと、石崎でもゴールゲットできる。これを繰り返すと、レベルとシュート力を翼や日向並みに上げることができる。
 一見、簡単にできそうだが、この作業は相当の根気が必要だ。石崎を最強レベルにするには、同じ相手と何度も戦う必要がある。石崎に点を取らせるためには、低いレベルの相手のほうがいい。したがって、ザコチーム(それこそ、前回書いたポーランドのような所)相手に何度も負けねばならないのだ。
 負けるのは悔しい。しかし、その悔しさに耐えて石崎を強化すれば、最終決戦で、ゲルティスくんのダークイリュージョン(この技の詳細については次回で説明)を軽々と打ち破る石崎くんのシュートを決めることができるようになるのである。

3.ブラジルの超人たち

99/09/06

 世界大会の決勝の相手はブラジルである。実在のブラジル代表が強いのは言うまでもないが、このゲームでのブラジルユースの強さも半端ではない。
 まずは、キーパーのゲルティスくん。彼は、17歳でセリエAの正キーパーを勤めているというおそるべき天才である。しかし、その実績よりもその技のほうが驚異的だ。
 彼の必殺技はダークイリュージョンという。この技が発動すると、まず彼の姿が三つにわかれ、背景が白と黒だけになる。その異次元的な画面がしばらく続いた後、フッと姿が消えるのだ。
 前述したジャイッチくんの「ローリングセーブ」もそうだが、これはさらに上を行く「確かにすごいが何の役にも立っていない」である。
 特に、ダークイリュージョンを発動したのにシュートを決められると悲惨だ。ハタから見ると「そりゃ消えてしまえば取りようががないからな」となってしまうからだ。

 そして最後に出てくるのは、「真のラスボス」的存在のコインブラくんである。実は、彼はブラジルでの大会で、「謎の男」として少しだけ出ている。そして、その後は一瞬たりとも登場せず、決勝戦の後半になって再び姿を現すのだ。
 それだけのキャラであるだけに、その能力にはおそるべきものがある。ドリブルのスピードは、あのマッハーくんに次ぐ上に、必殺のマッハシュートは、若林や若島津でも一瞬見失ってしまうという速度を持つ。当然、他の能力もトップクラスである。
 戦っていても敵ながら見とれてしまうようなすごい能力であった。そして、このキャラによって、ただひたすらサッカーを続けるだけにもかかわらず、このゲームの最後が締まって見えたのだろう。(完)

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