フレッツスポット接続失敗談

2008/2/3

 色々あって、一年ほど前にノートパソコンを購入した。当初は、限られた所に限っての使用だったが、仕事の都合もあり、段々と外に出る時間が増えていった。そうなると、せっかく無線LAN機器内蔵のノートなのだから、出先でメールチェックなどをしたくなる。そこで、秋から公衆無線LANサービスを利用することにした。
 まず最初に、どのサービスに加入するかだ。それ以前の問題として、まず「どのようなサービスが存在するか」から調べる必要があった。実は最初にノートを購入した時に、少々調べはしたのだが、サービス体系が非常に分かりにくかった。その時は、公衆無線LANの必要性はさほどなかったので、そのまま調べるのをやめてしまった。しかし、「よく分かりにくい」という事だけは記憶に残っていた。
 まず、どの会社のサービスを利用するかから考えた。マクドナルドなどで使えるソフトバンクのサービスも便利そうだったが、今ひとつ「Yahoo!BB非会員の料金」というのが分からなかった。そこで、既に使用している、NTT東日本かNTTドコモのサービスに絞ることにした。
 いずれも、同じNTT系列という事で、アクセスポイントはほぼ共通しているようだった。具体的には、地下鉄の駅・ロッテリア・プロントなどが対象だった。とりあえず、これだけあれば、仕事で客先から客先への移動の間にメールチェックすることは可能だ。というわけで、環境的にはこのいずれかで問題がない。後はどのサービスを使うかが問題となった。

 まず、ドコモのほうは、「携帯をPCに接続してネットにつなぐ権利」が500円で、それの追加サービスとして公衆無線LANを使うのが500円、という形になっていた。極めて高い通信料金を取られる「PCに携帯をつないでネット接続」などはする気は全くない。しかしながら、「公衆無線LANだけで500円」というサービスは存在しないようだった。
 一方、NTT東日本のほうだが、まず、どのサービスが自分の求めているものか、という事を探すのに苦労した。「フレッツスポット」というのと「Mフレッツ」というのがあり、ともに公衆無線LANサービスのようだが、違いがわからない。今更ながら、「日本の会社が日本人向けのサービスとして行っているのに、名前を見てどんなサービスだかわからない、というのはひどいもんだ」と思った。
 というわけで、サイトを延々と読んだのだが、どうやら、「フレッツスポット」のほうが、「Bフレッツの利用者がノートパソコンを持ち歩いて、地下鉄の駅やロッテリアでネットに接続するサービス」らしい、という事が分かった。
 値段を見ても、初期費用が無料の上に、月額800円でしかも最初の三ヶ月は無料と、ドコモよりもずっと安い。そこで、この「フレッツスポット」を利用することに決めた。

 そこで、NTTのサイトに行って申込を行うことにした。そこで必要な情報を確認のうえ登録する。ただ、そのページに書かれている通りには行かなかった。
 フレッツスポットの認証は、接続するための無線LAN機器に割り振られているMACアドレスというものを利用して、接続してきた機器が会員のものであるかどうかを識別する。そのMACアドレスを調べる方法だが、これがサイトに書かれている通りに行かなかったのだ。
 サイトによると、コンパネから「ワイヤレスネットワークの接続」をクリックすると「ワイヤレス ネットワークの接続」という画面が表示され、「サポート」というタブをクリックして「詳細」ボタンを押せばMACアドレスが表示されるという記載がある。しかし、筆者のマシンで「ワイヤレス ネットワークの接続」画面を開くと、NTTのページと異なり、下記のような画面が表示された。
 ワイヤレスネットワーク接続画面
 どうやら、内蔵無線LAN機器が、Windows標準の管理画面から操作できないように設定されているような感じだ。仕方ないので、ネットで「MACアドレスの取得方法」を検索した。そして、コマンドプロンプトを立ち上げ、サイトに書かれていた通りの方法で表示されたMACアドレスを、申込フォームに転記した。実は、この時点で筆者は重大な失敗を犯していたが、その時点では気づきもしなかった。

 そして、そのMACアドレスを含めた登録が完了した。そして設定マニュアルなどに記載されている通りに、無線LAN接続用のIDなどを登録する。さらに、フレッツスポットの場合は、「フレッツ接続ツール」を用いてプロバイダ接続の設定をする必要がある。そこで、プロバイダのサイトに行ってフレッツスポットの接続設定方法を探しだし、「フレッツ接続ツール」に通りに入力した。
 これで準備は万端。あとは、出先で接続するだけだ。ちょうど、近いうちに飛行機を利用した出張があった。羽田も行き先の空港も、フレッツスポットに対応している。そこで早めに空港に着き、さっそくノートを立ち上げた。
 立ち上がると、無線LAN機器のプログラムが、自動的にその場所から接続できる無線LANの一覧を表示する。そこから「フレッツスポット」を選択すると、早速、「接続中」なり、「速度54Mbps 接続状態・非常に良好」などと表示された。後は、フレッツ接続ツールから認証を行うだけだ。
 ところが、その認証がどうしてもうまく行かない。何度やっても「認証に失敗しました」と表示されるのだ。とりあえず、飛行機の搭乗時刻になったので、ここでの接続を諦める事にした。

 職場内でも無線LANが使えるようになっており、そちらのほうは問題なく接続できる。したがって、ハードウェア的な問題ではない。そうなると、問題は「フレッツスポット」の接続設定しかない、とその時点では思っていた。
 そこで、休みの日を利用して、無線LANおよび「フレッツ接続ツール」の設定を再度確認する。念のため、プロバイダのサイトに再度行って、DNSの設定の必要性なども確認した。一応、気になった部分があったので、そこを修正する。
 さて、これで接続できるかどうかだが、家では確認できない。そこでわざわざ電車で一つ隣の駅にあるロッテリアまで行って、接続を行ってみた。しかし、やはり同様の表示が出て、プロバイダに接続できなかった。
 その後、何度も再設定と失敗を繰り返していた。そんなある日、一つの分岐点が訪れた。ロッテリアなどが、「無線LAN環境があれば、会員登録無しで、10分間は公衆無線LANに接続できるお試しサービス」を始めたのだ。
 早速、ロッテリアに行って、そのサービスに接続してみる。即座につながり、ブラウザでサイトを閲覧する事ができた。しかし、その直後にフレッツスポットに接続しようとしても、同じ結果になった。ただ、その時、一つの重要な事に気づいた。
 無料サービスにつなぐと、無線LANの状態表示画面は「接続」と記載される。ところが、フレッツスポットの場合は、「接続中」となるのだ。つまり、プロバイダ以前の問題で、フレッツスポットそのものに繋がっていなかったわけだ。表示に「非常に良好」などとあるから、つい勘違いしていた。しかし、これでさらに原因が絞れそうに思えた。

 NTTのサポートページに行き、再度「接続できない場合」の情報を読み直した。特に新発見はなかったが、改めて「無線LAN機器・フレッツ接続ツールの接続設定、そしてMACアドレスが正しいかを確認してください」と書いてあった。
 ここで、今まで念頭に置いていなかった「MACアドレス」の事を思い出した。職場やロッテリアの無料サービスには簡単につながる。それぞれ、ID/PWの設定はあったが、MACアドレスの登録はなかった。さらに、申込時に、NTTのマニュアルと異なる方法でMACアドレスを確認した事も思いだした。
 そこで、再度、「MACアドレスを調べる」で検索をかけてみた。そこで改めて気付いたのだが、その時コマンドは、「このPCがネットワークと接続している機器のMACアドレスを調べる」というものだった。操作は家でやっているわけだから、LAN接続だ。つまり、自分がその時に調べて登録したのは、無線LAN機器でなく、有線LANのものではなかったのか、という事に気づいた。
 そこで、今度は「MACアドレス 無線LAN」で検索をかけた。すると、そのPCに内蔵されている、全ての通信ネットワークアダプタのMACアドレスを調べるコマンドが紹介されていた。
 これで確認した無線LAN機器のMACアドレスと、申込時に登録したMACアドレスを照合すれば、問題解決まで大きく近づく。しかし、ここでどちらかと言うとしょうもない問題が生じ、時間を浪費した。
 NTTのサポートページからメールフォームを探し、「フレッツスポット申込時に登録した自分のMACアドレスを確認したい」とメールした。ところが、数日後に帰ってきたメールは、「自分のPCに接続されている通信機器のMACアドレス調査方法」だった。「再度、申込時の・・・」と書いて返信したが、これまた見当違いの回答が送られてきた。そこで仕方なく、長々と状況を説明したメールを最返信した。すると、やっと分かっていただけたのか、「この番号に電話してくれ」というメールが届いた。最初に問い合わせてから一週間が経過していた。
 そして、電話して確認したところ、案の定、自分が登録したのは、有線LAN機器のMACアドレスだった。これでは繋がるわけがない。
 そこで、正しいMACアドレスを登録する方法を尋ねたところ、一度解約して再度新規登録する必要がある、との事だった。さらに初期費用及び三ヶ月分の接続料金無料キャンペーンは既に一度使っているので、今度は登録料も発生する、との事だった。自業自得だから仕方ないが、なんとも言えない空しさがあった。

 再登録が完了し、二度目の開通通知が届いた。翌日は一日中内勤だったので、外では試せなかった。そこで、帰りの電車で西船橋駅に着く直前にPCの電源を入れた。JRではフレッツスポットは使えないが、西船橋・船橋では隣接する東西線・東武野田線の駅があるので、電波が入ってくるのだ。
 西船橋駅では接続が間に合わなかったが、船橋駅では、フレッツスポットの所に「接続」が表示された。さらに「フレッツ接続ツール」でプロバイダのアイコンをクリックしたところ、ついに「接続」の表示がなされた。
 あまりに嬉しかったので、一駅手前で降り、ロッテリアでPCを広げた。先ほどと同様に接続に成功し、WEBもメールも普通に見ることができる。そういうサービスなのだから、当然と言えば当然なのだが、苦労した時間が長かっただけに、喜びもひとしおだった。
 冷静に考えれば、単に「ネットワーク機器のMACアドレスを調べる」というコマンドをたたけば、その時点でネットワークに繋がっている機器のアドレスを返すのは当然の事だ。それに気付かなかったため、長い時間を浪費した結果になってしまった。
 「予想どおりに事が運ばなかった場合は、慌てずに原因を調べて対策を取る」という物事の基本の重要性を改めて痛感させられた一件だった。