鉄人倶楽部(青木英子 さん)

2002/08/23

掲載・1987年から88年の増刊サンデー
 「トライアスロン」という珍しい題材を扱ったスポーツ漫画。三つのスポーツを合わせて行い、総合力で勝敗を競うという、漫画化が難しい種目を、うまく漫画にしている。
 主人公は基本的にスポーツ万能だが、家庭の事情により水泳が嫌いで、持っている自転車はママチャリ。もちろん、話が進むにつれ、普通に泳ぐようになり、自転車も専用のを使うようになるのだが、この導入部は面白かった。キャラクターもみな個性的で面白く、特にライバルとなるアメリカ人と「スポーツ万能の金持ちの息子」の二人の位置づけ・設定が面白い。読んでいる人を不快にさせないキャラクター作りだ。
 主人公は池田でその友人が嶋田、そしてヒロインは佐野という。連載第一話ではこの苗字に特に何も感じなかった。しかし、第二話で「嶋田」のペットが出てくるのだがその名前が「宗彦」と「章弘」。当時のタイガースに在籍した「兄弟バッテリー」の名前である。その時初めて、池田・佐野もタイガースの選手から取ったことに気づいた。それにしても、ヒロインをいぶし銀的な活躍をした六番レフトの「佐野」にするとは渋すぎる感覚だ、と驚きかつ感心した。
 外人のライバルを「ラインバック」にするところも渋いが、極めつけはヒロインが片思いをしている、眼鏡をかけた委員長タイプのやさしい先輩。なんと、「川藤幸三」なのだ。これほどキャラクターと名前が一致していないのも他にはないだろう。
 初の連載作品なだけあって、まだまだ荒削りなところもあったが、最終回もうまくまとまっており、次回に大いに期待が持てた。しかし、残念な事に作者の青木さんは、その後、連載をすることがなかった。




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