ロールプレーイングマシーン!(ながいけん 閣下)

2002/12/22

掲載・1988年発売の単行本「チャッピーと愉快な下僕ども」書き下ろし
 単行本のカバーには「ドラクエ体験者なら大爆笑」と紹介されているが、ドラクエはもちろんRPGゲームの類をほとんどやったことのない筆者でも十分笑えた作品。
 端的に言うと、ゲームの世界で行われる事を実社会でやったらどうなるか、というもの。「遭遇したヤクザやチンピラに土下座をするも金を奪われる」「経験値を上げようと老人を襲っても逃げられる」「見知らぬ家に入って各所を漁ってアイテムを探そうとしたら家人に警察を呼ばれて捕まる」「もちろん『オープ』なる変な球を見せても何も起きない」といった感じ。
 考えようによっては、ここ十数年ほどの間、若い人による前代未聞の犯罪が生じると必ず論じられる「ゲームと現実世界を混同した結果このような犯罪をおかした」という論調が無意味であることを、「ゲームと現実を混同するというのはこういうことだ」と示すことで証明した作品とも言える。
 ところで、この作品は単行本用書き下ろしなのだが、別に雑誌掲載分が足りなかったわけではない。それどころか、読者のリクエストなどにより、当初は4〜5年前に投稿作品として掲載された作品を収録する予定もあったらしい。
 ならばそれを掲載したほうが効率がいいと思われるが、ながい閣下としては自分としては満足のいかない未熟な(?)作品が掲載されるのが嫌でわざわざ書き下ろしたようだ。その投稿作品は20年近くたった今見てもかなりの質の高さだと筆者は思うのだが。ある意味芸術家肌みたいな所があったながい閣下には満足いかなかったのだろう。