かしましハウス(秋月りす先生)

2005/01/03

掲載・1990年代半ばから2003年のまんがライフオリジナル

 四人姉妹が主役の四コマ漫画。四人にそれぞれに個性があって面白いのだが、特に女子大生の三女・みずえが秀逸。頭がよくて運も強いにもかかわらず、動くのが苦手、という特異な性格で、いろいろと楽しい事をやってくれる。
 たとえば、夏休みにかき氷屋でバイトをすれば、「蜜を自由に使えるセルフサービス」という方式を開発し、自分は何も動かずに収益を挙げたりする。他にも寝ているだけで金を稼いだ事が多数という「商才」だ。
 他にも、いろいろな奇癖があり、街のセメントについた犬の足跡に名前をつけたり、風呂場のカビを鑑賞したりする。漫画において、「変わったキャラ」はいくらでもいるが、このように、日常のちょっとした所でその個性を放っている人はそうはいないのではないだろうか。

 もちろん、彼女以外の三人もそれぞれ面白い。少女小説家でかわいいもの好きの長女・ひとみに、運動万能で常人を超えた腕力を持つOLの次女・ふたば、姉に囲まれて育ったため大人びている四女・よもぎと、一人一人が面白い。
 さらに、その中で二人が組み合わさると、別の個性が発揮される。たとえば、基本的にはおとなしい長女と体育会系の次女なのに、長女が怒ると、いきなり次女に脇固めをかけてあっさりギブアップを奪ったりするのだ。
 という風に、一人一人でも、二人以上組み合わさっても、それぞれに各人物の面白さが描かれている。もちろん、4人姉妹のみならず、父親・飼犬・長女の担当編集者などの脇役もさほど目立たないながら、面白さが出ている。特に後半から出てきた担当編集者の「スズキさん」は実際の作者の担当を題材にしているようで、リアルな面白さ(?)が伝わってくる。
 「OL進化論」と同じ質の高さがありながら、別の面白さもある、というあたりに、作者の力量の幅の広さを感じる作品。





「心に残った名作ーギャグ・コメディ」

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