デビルマン(永井豪先生)

1998/10/17

掲載・1970年代前半の週刊少年マガジン…だったと思う」
 冷静に「作品」として分析すると、世界観・話のバランス・最後まで解明されなかった謎など、不備な点も目立つ。
 しかし、そのような些事が気にならなくなるほどのものをこの作品は持っている。
 まず「人類を守るために不動明がデビルマンになる」という所から話は始まっていく。しかし、ヒーローのデビルマンの奮闘空しく、結局人類は滅亡してしまう。しかも、敵の手によってではなく、自らの手によって滅びるのだ。
 しかも、最終決戦において、デビルマンもまた敗れて死んでしまう。このように徹底して「ヒーローはとにかく勝つ」という基本図式を否定しているのだ。
 もちろん、その意外性だけがすべてではない。主人公の不動明が人間に絶望していく過程、副主人公である飛鳥了の苦悩と豹変をはじめ、各キャラが実に深く描かれている。
 なお、筆者がこの作品を読んで一番恐かったのは、「作中では人類が絶滅したが、その過程が極めて『人間らしい』自滅のしかたである」という事であった。


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