幕張本郷の風

 幕張の海岸にある千葉マリンスタジアムは風の強い球場として有名である。筆者は、幕張本郷に来るまで、「風が強いのは海に近いせいだろう」と思っていた。しかし、ここに来てそれが誤りであることを思い知った。そこそこ内陸に入った幕張本郷でも非常に強い風が吹き荒れる、という事を身をもって体験したからだ。
 風の強い日は、朝、布団の中にいてもわかる。ビュービューという風の音が鳴り響くからだ。そういう日は、風向きによってはアパートの外階段を降りる時さえ、一苦労する事すらある。
 駅に向かって歩くと、線路沿いに自転車が並んで止められている。風が強い日だと、それが軒並み倒れてしまっている。
 我がアパートと駅の間には鉄道の車庫がある。したがって、長い橋を渡って駅に行くことになる。周囲は車庫なので、大きい建物などはない。したがって、この橋の上では、何の障害もなく風が吹き付けてくるのだ。
 少々の雨なら、傘をさしていても効果はない。したがって、小雨・強風という日には、雨が降っているのに、傘を持つだけでささない、という事がよくある。ちなみに無理をして傘をさすと、風の勢いで骨が曲がってしまう。我が家にも数本傘があるが、骨が曲がっていないものはない。
 安物のビニール傘の場合、骨が曲がるだけではすまない。傘としての形を維持できないほど徹底的に破壊される。そのため、強風の日の駅には、無残な姿となったビニール傘の残骸がゴミ箱に捨ててあるのも珍しくない。
 他にも、干していたと思われる布団が飛んで(「落ちて」ではない)いたりと、豪快な現象を見ることは多い。しかし、引っ越してきた当初は「すごい風だな」などと驚いていたが、いつの間にか日常風景の一つとして、気にもとめなくなってしまっている。