1.幕張西ショッピングセンター

 幕張本郷駅から海浜幕張方面に下る道を進み、千葉街道との交差点を越えると、「幕張西二丁目」というバス停がある。ここでバスを降りると、「幕張西ショッピングセンター」という看板が目に入る。
 すぐ前は庭みたいになっており、それをコの字型に囲うように商店が並んでいる。電器屋・日用品店などの看板が見える。しかし、すべての店のシャッターは閉まっている。
 筆者が幕張本郷に来て二年たったが、この「ショッピングセンター」は変わることなく閉まったままである。営業を再開する気配も、取り壊す気配もない。
 周辺の環境を見ると、この「ショッピングセンター」がつぶれた理由は想像がつく。すぐ裏手には西友があり、その周辺には「ショッピングセンター」と似たような商店が並んでいる。さらに、道を隔てた向こう側には大きな電器店がある。これでは客はみなそちらに流れてしまう。つまり、現在、全国各地で発生している「大規模小売店による地元商店街の崩壊」なのであろう。
 ただ、通常のケースと大きく異なる事がある。通常、商店街というのは、駅と住宅街を結ぶ道路に沿って形成される。しかし、この「ショッピングセンター」はそのような商店街とは全く異なる。いわば人工の商店街なのである。
 実は、このような「ショッピングセンター」の看板を掲げた場所は駅の反対側にも存在する。ただしそこは、酒屋が一軒であとは皆飲食店。こちらも大変冴えない外観なのだが、何とか存続はしている。
 設立当時に幕張本郷に住んでいたわけではないので断言はできないのだが、メッセ建設を筆頭にした「幕張新都心計画」に便乗して、このような「ショッピングセンター」構想が発生したような気がする。もともと駅がなかった幕張本郷には商店街が存在しなかったので、それを人工的に形成させて地域振興を考えた、と思われる。
 しかし、バブル崩壊などにより「幕張新都心」も構想通りにはいかず、さらに大手小売店との戦いにも敗れ、「幕張西ショッピングセンター」は無残な姿をさらす破目になってしまったのだろう。
 いずれにせよ、頻繁に発着するバス停の真正面にある「人工商店街の廃墟」は見るたびになんとも言えない物悲しさを喚起させられる。


※「幕張西ショッピングセンター」は2001年末頃に取り壊され、跡地はマンションになった。
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