西東京市

 2001年1月21日の朝刊を読んだら、「本日より東京都の田無市と保谷市が合併して西東京市に」という記事があった。ちょうど、池袋にちょっと行く用事があり、しかもその後は特に予定がない。せっかくだから、合併初日の西東京市を見物しようと思って、西武池袋線の急行に乗った。
 急行は保谷駅には止まらず、次のひばりケ丘駅に止まる。隣の駅も保谷市かもしれない、と思ったが、やはり市の名前を冠している以上、そちらの駅で降りるべきだなと思い、石神井公園駅で各駅停車に乗り換え、保谷駅で下車した。
 駅前では記念イベントでも行われているかと思ったのだが、駅前の西友に「祝!西東京市誕生」というのぼりがかかっていた以外には、合併を示すものは特に何もなかった。また、不思議なことに駅前の案内のうち半分くらいは電話番号が03であった。合併して市名に「東京」を冠したのを期に03になったのかな、と不思議に思った。しかし帰って地図を見たら、保谷駅が西東京市と練馬区の境界あたりに位置していだけのことだった。
 駅前のバスターミナルに「田無駅経由武蔵境駅行き」というのがあったので、それに乗って西東京市を縦断することにした。ちなみにバス会社は西東京バスではなく、西武バスだった(ちなみに西東京バスは西東京市よりはるか西で営業をしているバス会社)。
 市名を冠する二つの駅を結ぶにしては本数は少なかった。しかしながら幸運にも比較的待たずにバスはやってきた。バスは駅前の通りを抜けた後、田無方面に南下する。しばらくして「保谷庁舎前」というバス停に着いた。前日までは市役所だった入り口には黒い石に「西東京市役所保谷庁舎」と彫られた堂々たる表示があった。
 途中、窓の外に「西東京工務店(?)」という古い看板が見えた。どうやらこのあたりでは前から「西東京」という概念はあったのだな、という事がわかった。
 田無市に入るあたりで渋滞にハマった。このバスは青梅街道を渡って田無駅へ行く道は片側一車線なのである。そこに保谷発のバスはもちろん、青梅街道から田無駅方面に行くバスも入ってくる。日曜の昼下がりにもかかわらず、前後あわせて三台のバスが見えた。
 とにかく全然動かないので、田無駅の一つ手前の田無町三丁目で降りて、そこから歩いた。駅に行く通りを見てもやはり「合併」を感じさせるものはなかった。駅前広場を見ても保谷駅と同様、スーパーのに掛かったのぼりくらいだった。
 田無から西武新宿線に乗って戻ったのだが、窓に「沿線バス案内」が貼ってあった。それによるとひばりケ丘−田無間のバスは便利度Aの幹線なのに対し、保谷駅−田無駅経由武蔵境駅行きのバスは便利度Cだった。なんかえらく失敗したようにも思ったが、保谷駅から乗らなければ「保谷庁舎」の堂々たる表示は見れなかったから、と自分に言い聞かせた。