第二種衛生管理者試験合格記

2024/8/28

 昨年、53歳で新たな仕事を始めた。
 会社自体は、10数年ほど前に4年ほど勤めたところから分かれたところだ。
 そういう意味では、転職というより、復帰といってもいいだろう。
 実際、今の直属の上司は、10数年前の上司だった人だ。
 ただ、配属された部署は、当時と違う職種だった。
 そして、職種に必要な資格として、第二種衛生管理者を取得するよう、会社から指示があった。

 筆者は30数年ほど社会人をやっている。その半分近くは、コンピュータ関係の任務だった。
 それもあって、その分野の資格は、いくつか持っていた。そして、試験を受けるときは、これまでの業務知識をベースに勉強していた。
 しかし、今回の試験は、まったく違う分野である。
 コンピュータに関する問題は、「作業時のディスプレイの配置・コンピュータを使って作業する場合の休憩の取らせ方」しかない。
 というわけで、ほとんど知識ゼロのところから勉強しなければならなくなった。
 早速、参考書を購入して読み始めたが、聞いたことのない話ばかりだった。
 ただ、出題分野の一つに労働法に関するものがあった。
 これに関しては、6年ほど勤怠管理システムに関する仕事をやっていた関係で、一通りの知識はある。
 ここだけは楽して覚えられるな、と思ったものだった。

出願について

 出願するにあたり、運営団体である安全衛生技術試験協会のサイトを見た。
オンライン申請ページがあるので、ここから登録した。
 ただ、オンラインだけでは完結しない。
 申込書をプリントアウトする必要がある。
 さらに、受験資格を証明する書類も提出しなければならない。
 筆者の場合は、大学の卒業証書のコピーと、「1年以上労働衛生の業務に従事した経験」を証明する「事業者証明書」が必要だった。
 「事業者証明書」については、会社に提出して、印鑑をもらう必要がある。
 それらをまとめて、試験協会に郵送した。
 すると、「最初にオンラインで登録した写真に背景が入っている。修正するように」というメールが来た。
 筆者は、相方に頼んで加工してもらった。後で調べてみたら、オンラインで背景削除サービスをやっているサイトがあることも知った。
 その修正した写真を送付して、やっと申込みが完了した。 

勉強方法について

 出題分野を3つに分けると「関係法令」「労働衛生」「労働生理」になる。それぞれの分野から10問ずつ出題される。
 「関係法令」については、この資格の根幹である「衛生管理者」や、それに関連する職務に関する問題が必ず出る。
 他には、有給の付与基準・時間外労働に関するものなど労働法に関する分野や、職場での健康診断、職場で使う機器などの点検に関する法令なども出題される。
 「労働衛生」は、職場で発生しうる怪我の対処法や、働く環境で定められている規則などが出てくる。
 「労働生理」は、心臓をはじめ、体内の臓器や神経の働きなどが出てくる。中学や高校の理科で習ったような問題も多い。
 先述したように、労働法並びに、理科で習った事を除けば、筆者にとってまったく知らない事だらけだった。
 しかし、合格するためにはその知らない事を覚えるよりない。
 というわけで、筆者は購入した参考書を三回読み返した。
 ちなみに参考書は電子書籍で購入した。通勤時にスマホで読むという形の学習方法だった。
 そして、試験の一週間前に、参考書に収録された模擬試験を解いてみた。
 ちなみに、合格条件は、全30問のうち18問以上正解することである。
 さらに、「関係法令」「労働衛生」「労働生理」それぞれの分野で4問以上正解という条件もある。
 つまり、仮に「労働衛生」「労働生理」で20問すべて正解しても、「関係法令」で3問しか正解しなかったら、不合格になるわけだ。
 話は戻って模試の結果だが、惨憺たるものだった。
 一回目の問題は、13問正解でしかも「労働衛生」は2問しか正解できなかった。
 二回目の問題は、三分野でそれぞれ4問以上正解できたが、14問正解しかできなかった。
 かつて取得したコンピュータ関係の資格とはやはり手応えが違った。
 当たり前だが、このままでは合格できない。
 しかし、この時点では、まあ想定の範囲内ではあった。
 要は、残る一週間で、あと5〜6問以上正解できるようになればいいわけだ。

 その対処法として、過去7回分の本試験問題が収録された本を購入した。
 そして、ひたすら問題を解きまくった。
 解いていくと、出題パターンが自ずとわかっていった。
 中には、過去7回で全て出題されている問題もあった。
 一例を挙げると、「有給休暇の付与ルール」だ。
 出題されるのは2パターンで、フルタイム(週30時間以上もしくは週5日以上働く人)の付与ルールおよび、週30時間未満で週4日働く人の付与ルールしか出題されない。
 実際には、週3日・2日・1日勤務の付与ルールもあるのだた、それは一度も出なかった。
 ならば、その2パターンの付与ルールを暗記すれば確実に1問正解できるわけだ。
 他にも、ほぼ全ての過去問で出ていたものに、以下のものがあった。

 主だったものをいくつか挙げてみたが、もちろん、これだけではない。
 いずれにせよ、過去問を解けば、出題パターンが頭に入る。
 さらに、「明らかに間違った選択肢」も覚えられるので、正答率は上がっていく。
 一週間前に挑戦して、合格基準に満たなかった模試を試験前日に再度解いてみたが、いずれも30問中28問正解することができた。

試験当日と結果について

 試験日は、運悪く台風上陸が予報された。
 運営機関からは、「試験は実施する。キャンセルした場合は返金する」というメールが前日に届いた。
 試験日にあわせて対策してきたこともあり、予定通り受けることにした。
 幸い、台風は直撃しなかったので、問題なく、試験を受けることができた。
 会場に入ったが、予想通りとはいえ、若い人が多かった。
 ざっとみただけだが、筆者のような半分白髪の50代とおぼしき人は見かけなかった。
 試験はマークシートで、鉛筆・消しゴム・単純な機能の電卓と受験票以外のものは机に置くことができない。
 試験時間は3時間だが、1時間を経過すれば退出できる。
 筆者は一通り解いたあと、二回見直しをしたうえで退出した。
 結果速報は、1週間後に運営団体のサイトに掲載される。
 当日の手応えはあまり良くなかったが、なんとか合格できたようで、サイトには筆者の受験番号が載っていた。

 10数年ぶり、しかも実務経験のない分野だったので、当初は不安だったが、なんとか結果を出すことができた。
 なお、これを読んだ人の中には、「過去問で出題パターンを覚えて合格するなら、最初からそれだけやっておけばいいのでは?」という疑問が生じるかもしれない。
 実際、過去問を解きながら、頭に叩き込んだことは多々あった。
 ただ、やはり、それまで参考書を三回読んだことで、基礎をある程度理解できたからこそ、過去問で一気に合格ラインに達することができたと体感的には思っている。
 ちなみに、この試験を受けることで一番有益だと思った知識は「衛生とは『生命を衛る』という意味」という事だった。
 これまで、半世紀ちょっと生きて、漠然と使っていたが、「清潔にする」くらいの認識しかなかった。
 それもあり、「衛生」の本当の意味を知ることができたことは、資格を得たのと同じくらい有意義だったのでは、と思っている。
 なお、筆者が購入した参考書と過去問題集は以下の二冊である。
改訂2版 この1冊で合格! 村中一英の第2種衛生管理者 テキスト&問題集第2種衛生管理者 過去7回 本試験問題集 ’24〜’25年版 (単行本)