つのだじろう氏と言えば大ヒット作「うしろの百太郎」「恐怖新聞」などのホラー漫画が有名だ。そのつのだ氏が名探偵・金田一耕助シリーズを漫画化したのが本作品である。ホラーの大家なだけに、そのテの描写もお手の物で、恐怖感のある作品に仕上がっている。しかし、筆者の心に残ったのは全く違うところだ。それは金田一耕助の風貌である。原作によると金田一は
年頃三十五、六、もじゃもじゃ頭の、風采のあがらぬ小柄の人物で、よれよれのセルに、よれよれの袴といういでたち。(中略)むやみやたらと、もじゃもじゃ頭をかきまわすくせがある。
となっている。しかし、この漫画に出てくる金田一は、三つ揃いのスーツをビシっときこなし、頭には固めのパーマを当てていて、その髪型を崩すことはない。小柄ではあるが、風采があがらぬ、という感じではなく、丸メガネをかけていて、小器用でネズミを思わせるような風貌だ。名探偵というよりは、警察の中間管理職という感じのキャラだった。
それまで金田一耕助の出てくる小説は2冊くらいしか読んだことがなかったが、映画の宣伝ポスターなどでそれなりの金田一耕助のイメージが頭の中にあったので、違和感が相当あった。
一応、原作の時代背景が敗戦直後であるのに対し、この漫画は1970年代を舞台にしているらしい。また、当時の映画の中でも「スーツの金田一耕助」は存在していたようだ。したがって服装が原作と違うのはある意味仕方がないのかもしれない。しかしながら、「小柄」以外の特徴をすべて変えてしまうというのはかなりすごいと思う。
というわけで、謎解きなどはすっかり忘れてしまったが、この不思議な金田一ばかりは記憶に焼きついている。ちなみに、つのだ氏のサイトには金田一の絵はなかったが、株式会社ジャックポットというCD・DVDの会社のサイトに、なぜかつのだ版・金田一の似顔絵が掲載されていた。つのだ氏の画風ではないが、よく特徴を捉えてあるので、興味のある方はぜひご覧頂きたい。
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