1980年代前半の増刊サンデーの看板作品の一つに、岡崎つぐお氏の「ジャスティ」という作品があった。宇宙を舞台としたSF作品で、寡黙な主人公の「ジャスティ」が悪と戦うような話だった。一方、岡崎氏は週刊少年サンデーでは「春美120%」というラブコメ系のスポーツ漫画を同時に連載していた。
その「ジャスティ」終了後、増刊サンデーの「復帰作」となったのが、表題の作品である。読みきりにもかかわらず、予告では見開きの絵で作品を紹介していた。まあ、前作があれだけ人気があったのだから、当然の扱いと言えるだろう。
そして発売日、当然ながら表紙はその「土橋」。そして巻頭カラーである。この号の「看板」とも言える扱いだが、その内容は、扱いにふさわしいものではなかった。
主人公の「土橋」は、古くから続く拳法の継承者だが、人前でその拳法を見せた事はない。その理由は、その拳法が、構えて「気」を溜める際に「運来ー 運来ー」と叫ばなければならない、というものである。当然ながら、それが恥ずかしい「土橋」は拳法を封印したわけである。ところが、好きな女の子だかが悪人に襲われ、そこで彼は勇気を出して、上記の掛け声を口にして、悪人をやっつける、というのが話の筋である。
質としては、低学年向け児童漫画に掲載されそうな、子供向けの尾篭ネタギャグ、といったところだろう。しかも、これ以外に、話の特徴と言えるものはないのだ。いくら読みきりとはいえ、そのネタだけで作品を一本描くというのは、さすがに凄すぎる。おかげで、筆者の心に刻まれてしまった。
その後、岡崎氏は週刊少年サンデーには「ジャスティ」と同じ方向性の作品である「ラグナロック・ガイ」という宇宙SFものを連載し、そこそこの人気を得た。しかし、さすがに「俺は土橋だ、文句あっか?」の続編や同じ方向性の作品を発表する事はなかったようだ。