巨乳ハンター

 現在では「巨乳」どころか「爆乳」などという言葉がゴロゴロ見られるようになったが、当時としてはなかなかインパクトの強い題名だった。実際、この題名に何か勘違いした映画会社によって、少年漫画史上初の「AV女優が大量出演する実写ビデオ」化されてしまっている。
 確かに、元々の読みきり作品は「告白した男が女性を乳の大きさのみで判断する事に怒ったヒロインが、コンビニのふかし饅頭を胸に詰めて『巨乳ハンター』に変身し、乳の大きな女性にやつあたりする」という話だし、他にもそういう感じの話は多い。しかしながら、筆者がこの作品において最も心に残ったのは、「巨乳」とはほとんど関係のない以下のエピソードとセリフである。
 ストーリーはヒロインは、地元球団の「福岡平和台ポークス」のファンであるが、このチームは年棒ばかり高くて全然役に立たない外人抑え投手「オッセージ」が象徴のダメ球団である。特に外人スラッガー「バストラーデ」のいる「西武オイランズ」には全く歯が立たない。その「バストラーデ」が巨乳の女性である事を知ったヒロインが、球速140kmくらい出る野球の才能を生かして「オッセージ」に変装して「バストラーデ」に挑む、というものである。
 無論、「巨乳」がどうこう、というのは連載の整合性を持たせるための口実で、実際には作者のホークスへの思い入れを描いただけの作品である。たとえば、冒頭で「ポークス」の敗戦に怒るヒロインが「こんなことじゃファンやめるぞー!こうなったら山本選手のサインでももらわねば気がすまない」などと一見矛盾した事を言うあたり、ファン心理というものが伝わってくる。
 特に極めつけは、リリーフ失敗を繰り返す「オッセージ」をまたまた登板させた時のファンのセリフ「チブター、わりゃポークスつぶす気か!?」である。当時のホークスの田淵監督の采配は、ファンでない自分から見てもかなりひどかったので、この何気ない野次には作者の魂の叫びが代弁されているのだな、と感じたものだった。
 ちなみに、それから12年、田淵監督辞任後のホークスは超強豪球団に生まれ変わった。一方、田淵監督は評論家に転じて「私も監督時代、投手が打席に立った時の交代時には苦労したものでしたよ」などと言っていたが、2002年よりタイガースのチーフ打撃コーチとやらになってしまった。そして「入門」した若手をスランプに陥らせたり、不振の外国人選手に対して冷たい発言をするなど、大活躍している。確かに好調投手陣のおかげで、チームは首位だが、打線は決して好調とはいえない。
 そして、彼に関するそのような情報を知るたびに、筆者は「チブター、わりゃタイガースつぶす気か!?」と心の中で叫んでいた。
 ただ、この時は、和田打撃コーチ・オマリー特命コーチの活躍もあり、タイガースは優勝した。
 しかし、2008年の北京五輪では、「チブター、わりゃ日本代表潰す気か!?」的な発言を大会前から続け、それに見合った結果を導いていた。
 そして、2011年からは仙台で、「チブター、わりゃイーグルス潰す気か!?」と言われるような「活躍」をし、ホークス同様、退団する事によって、翌年のチーム躍進に貢献したようだ。

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