まんがハイテク新時代(安永航一郎先生)

2003/11/18

掲載・単行本「海底人類アンチョビー」巻末書き下ろし(1993・94年刊)
 パソコンの購入とネットについての基本(?)を簡潔に描写した短編漫画。2巻収録の前編ではパソコン購入とそれを使った描画について、3巻収録の後編ではネットについて描いてある。
 パソコンについては、「苦労して高いものを買っても、しばらく経つと、より高性能なものが同じくらいの値段で出てくる」という表現をしている。10年たった今でも十分あてはまる話だ。もっともこれは、「ムーアの法則」が有効である限りは、これは永遠の真理のようなものだろう。
 あと、冒頭に「お金持ちのマンガ家さん達がだまされてみんな買ったアレ」という表現がある。おそらくはA社のものと思われるが、どのような事情があってだまされてと表現したのか、興味深いところだ。

 第3巻収録の後編では、パソコン通信について述べている。もちろん、ブロードバンドはもちろんのこと、インターネットすら普及していなかった10年前の話なので、「画像一枚落とすのに何十分」などといった、時代を感じさせる文章もある。
 しかし、「(パソコン通信の)討論の内容は政治や宗教から夫婦ゲンカの仲裁まで」というあたりは、現代日本のネット界を代表する巨大掲示板の宣伝文句と似通っている。技術は進歩しても、話題になることは変わらない、という事なのだろう。
 また、ネット内で激しく繰り広げられる「論争」についても、「わざわざ顔も知らん相手と何時間もケンカするなんてマトモな大人のすることではありません」と割り切っている。この文章などは、掲示板の他人の書き込みにアツくなった時などに思い出すと、現在でも役に立つのではないだろうか。
 最後に、「ネットおかま」について解説しており、「本当に結婚した例もあるそうです」で落としている。これが事実なのか、作者が適当に作った話なのかは、いまだに謎である。
 筆者が始めて通信の類をやった頃は、行動指標としてこの漫画を大いに参考にしたものだった。それにしても、今読むと、パソコン・ネットの世界は日進月歩とよく言われるが、変わらないところは変わらないものだ、と実感させられる作品である。

 なお、本編の「海底人類アンチョビー」だが、作者にとって、かなり苦痛をともなう作品だったようだ。並行して他社に連載していた「頑丈人間スパルタカス」という作品の中で、連載中に編集部との間であった不快な逸話を公開している。
 序盤のあたりで「とある外交官の娘に目をつけておったのだが、いかんせん先約があったようでなあ」などというギャグをかましたのがまずかったのだろうか。最後のほうは、やる気をなくしたのか、「結局強い正義が弱い悪に勝って、めでたしめでたし」というな、安永作品らしからぬ陳腐な終わり方をしていた。




「心に残った名作ーギャグ・コメディ」

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