ジーク幕張クリニック
2006/11/23・2008/7/28追記
※筆者の家の近所にあった病院だったが、2008年7月に船橋に移転し、ジーク夏見クリニックとなった。したがって、幕張本郷とは関係なくなったが、名前を初め、独特の特徴はそのままのようだ。
筆者は病弱でないが、年に1〜2回は医者の世話になるくらいに体調を崩す。当初は、何かあると、隣町の津田沼にある総合病院に行っていた。ところがある年の冬、血痰が出たので相談にいったら、さんざん待たされて検査をされた。検査自体はいいのだが、その待合室に長い時間いたおかげで、インフルエンザをうつされてしまい、数日間寝込むという「院内感染」を経験してしまった。
それを機に、「やはり最初にいく病院は地元の個人病院のほうがいいのでは」と思うようになった。そんなある日、嫁さんが体調を崩し、医者に連れて行く事になった。最初に書いたように、これまで幕張本郷の病院に行ったのはほとんどなく、どこに内科があるかも知らなかった。そこで、町を散歩していた時の記憶を動員し、北のほうにこぎれいな病院があった事を思い出し、そこに向かうことにした。
ところが、そちらに向かおうと道を曲がった時、その角に病院の看板が立っていた。体調が悪い事もあり、歩く距離は短いに越したことがない。そこも外見的にはこぎれいだったので、予定を変更してそこに入ることにした。
ただ、この病院、建物レベルでの外見は問題がないのだが、その看板には大いに疑問を持たされた。なにしろ、病院名が「ジーク幕張クリニック」だったのだ。
筆者の知る限り、病院の名前というのは「地域名」「運営者(団体)名」「診療科名」の三つで構成されるのがほとんどだ。それについては、町医者だろうと、東大病院だろうと国立がんセンターだろうと変わらない。たまに変わり種として「さわやかクリニック」など、病院の印象を上げる接頭語がつくこともある。では、この「ジーク」というのは何なのだろうか?
非常に気にはなったが、「ジーク」によって診療内容が変わる事もないだろうと思い、嫁さんと病院に入ろうとした。そして扉をあけようとして表示を見る。すると、「『どっこいしょっと』押す」と書いてある。今まで色々な扉の表示を見ていたが、かけ声を推奨するのははじめて見た。さすがは謎の「ジーク」だと思った。
中に入ってみたところ、普通のこぎれいな待合室があった。特徴的な事と言えば、待合室に置いてあるマガジンラックに「漢方薬の本」がある事と、「気功治療」のチラシが張ってある事くらいだろうか。「ジーク」な割りには東洋医学も重視しているような感じだ。実際、診察された嫁さんに処方された薬の中には漢方薬も含まれていた。
子供の頃、イボに悩まされた事があった。最初はなかなか治らなかったのだが、漢方薬を飲んだら治った、という事があった。薬の味も悪くなかったので、その時から、漢方薬には好感を持っており、その「漢方併用」という方針も悪い印象を持たなかった。
というわけで、表示的には奇妙な点も多いが、家からも近いし、診療方針も悪くなさそうなので、今後は何かあったらここに行くことに決めた。
ただ、どうしても気になるのは、その「ジーク」だ。私のような世代だと、「ジーク」というと、「ガンダム」の「ジークジオン」になる。そのため、壇上に医師が立ち、患者さんたちがそれを称える、などという場面を想像してしまったりした。というわけで、気になって地域サイトで調べたところ、「ゼロ戦のアメリカでのコードネーム」との事だった(その後できた公式サイトにも掲載されていた)。
日本全国にどれだけ病院があるか知らないが、「戦闘機の名を冠した名前の病院」はそうはないだろう。治療方針とは全く別の次元で感心させられた。
さて、それから半年くらいした夏に、咳が止まらない、という症状が発生した。最初は様子を見ていたが、一週間たってもそのままなので、「ジーク」に行くことにした。すでに「先客」がいたので、前回気になった漢方薬の雑誌などを読みながら時間をつぶすと、やがて自分の名が呼ばれた。早速、咳が止まらない旨を伝えると、喉を検査された。そしていきなり「炎症で喉が真っ赤ですね。カラオケで『岸壁の母』でも歌いすぎましたか?」と尋ねられた。
今まで、色々な医者にかかったが、最近カラオケで歌った曲を尋ねられたのは初めてだった。ちなみに、残念ながらここ数年カラオケには行っていないし、「岸壁の母」に至っては歌詞すら知らない。
その強烈さは「さすがは『ジーク』の名を冠するだけの事はある」と思った。ただ、その後の診療・処方には問題がなく、西洋薬と漢方薬を言われたまま飲んでいたら、喉のほうはあっさり良くなった。
この医師の独特の話術(?)は賛否両論あるようだ。地域情報サイトやmixiでも、嫌いな人は相当嫌いなようで、かなりきつく批判している。まあ、これはその人の感覚なのだろう。筆者のように、「何故病院名に戦闘機?」と面白がり、扉に「『どっこいしょ』と押す」と書いてあるのに感心するような人間なら、いきなり「岸壁の母」云々などと言われてもサイトのネタにして喜ぶくらいだ。しかしながら、これはあくまでも人それぞれで、漢方薬がどうしても合わない人がいるのと同様、ここの医師の性格がどうしてもあわない人もいるのだろう。
ちなみに先日、帯状疱疹で診療を受けた時、発症から三日間我慢していた事を聞いたら「刺激のある日常を求めたかったのですか?」と尋ねられた。個人的にはなかなか受けたのだが、これだって、人によっては「痛いのを我慢しているのにバカにしているのか」と思う人もいるだろう。
というわけで、技術的な事のみならず、人柄の点でも、「患者を選ぶ」病院と言えるかもしれない。したがって、万人に勧められないが、そこさえどうにかなれば、かなりいい病院なのでは、と思っている。判断基準としては、この「戦闘機の名を冠した病院名」という感覚を面白がれるか否かが、この病院にあうかあわないかに通じているのでは、と思っている。